厚み、重さ、視界の悩み。|第6回:レンズのコバ(側面)処理の真実。鏡面磨き(つや出し)は本当に正解か?
強度近視のメガネを作る際、仕上がりのオプションとして「レンズの側面(コバ)をピカピカに磨いて、厚みを目立たなくしましょう」と提案されたことはありませんか?「鏡面磨き(つや出し)」と呼ばれるこの加工、一見すると透明感が出て綺麗に思えますが、実はメリットばかりではありません。今回は、プロだからこそ知る「コバ処理の裏側」を正直にお話しします。
こんにちは、72eyeworksです。
強度近視シリーズ第6回は、レンズカットの最終工程である「コバ処理」にスポットを当てます。フレームのサイズ選びやフィッティングに比べると小さなディテールに思えるかもしれませんが、ここをどう仕上げるかで、メガネの「ウズ」の見え方が劇的に変わります。
「鏡面磨き」が引き起こす、光の跳ね返り
コバ処理には、大きく分けて「マット仕上げ(通常の削りっぱなし)」と「鏡面仕上げ(透明になるまで磨き上げる)」の2種類があります。
- フチなしフレームには効果的ですが……: レンズのフチが露出するツーポイント(フチなし)やナイロール(下半分がない)フレームでは、鏡面磨きを施すことで、カット面がフレームと一体化してスッキリ見える効果があります。
- 強度近視の天敵「白いウズ」を強化する: しかし、フルリム(全周に枠がある)フレームで強度近視のレンズをピカピカに磨き上げると、側面が「鏡」のようになってしまいます。その結果、入ってきた光がレンズの内部で激しく反射し合い、あの気になる「白いウズ(正面から見たときの白い輪っか)」を、むしろ強調してしまう原因になるのです。
- 不快なゴースト光(内面反射): 磨かれた側面から予期せぬ光が目に入り込むため、夜間の運転時に街灯がにじんで見えたり、チラつきを感じたりといった、視界のクオリティ低下を招くこともあります。
72eyeworksが導き出す「最適な仕上げ」
genericQ:それでは、強度近視のコバは磨かない方がいいのですか?
A:私たちは、完全にピカピカにする「鏡面磨き」ではなく、職人の手加減でほんの少しだけ角の白さを取る「セミマット(半つや消し)仕上げ」をおすすめすることが多いです。削りっぱなしの真っ白な状態でもなく、光を反射する鏡でもない、絶妙な質感を残すことで、ウズの発生を最小限に抑えつつ、横から見たときの厚みの存在感を自然に消し去ることができます。
Q:コバの厚み自体を直接減らす加工はありますか?
A:レンズの耳側の厚い部分を斜めに大きく削り落とす「面取り(べべリング)」という手法があります。ただし、これも大きく削りすぎると、正面から見たときに削った斜面が白い帯のように目立ってしまいます。ここでも、第3回・第5回でお話しした「最初からレンズの中心と瞳の位置が合う小さなフレームを選び、面取りを最小限で済ませる設計」にするのが、最も美しく仕上げる大原則です。
まとめ:スペックではなく「調和」で選ぶ
「綺麗に見えるから」「オプションで選べるから」という理由だけで鏡面磨きを選んでしまうと、仕上がったときに「思ったよりウズが目立つ……」という結果になりかねません。フレームの色、素材、そしてお客様の度数との相性をトータルで計算し、最適なコバの質感を職人の手でコントロールする。それこそが、私たちが大切にしている丁寧な眼鏡作りです。
次回、第7回は**「強度近視のための『レンズコート』選び|反射を抑える技術」**をお届けします。レンズの表面処理でウズをさらに目立たなくさせる、最新のコーティング技術について解説します。お楽しみに!
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