メガネ歴史物語|第3回:素材の革命①:高級品の象徴だった「鼈甲(べっこう)」と「銀」の時代

2026.02.16

メガネ歴史物語|第3回:素材の革命①:高級品の象徴だった「鼈甲(べっこう)」と「銀」の時代

現代ではチタンやプラスチックなど、軽くて丈夫な素材が当たり前ですが、かつてメガネは限られた希少な素材で作られる「超高級品」でした。今回は、古のライダーならぬ、古の紳士たちが憧れた「鼈甲(べっこう)」と「貴金属」の時代へご案内します。

こんにちは、72eyeworksです。

メガネの歴史を紐解くシリーズ、第3回は「素材」に注目します。18世紀から19世紀にかけて、メガネは実用的な道具であると同時に、持つ人の身分や富を象徴するステータスアイテムとしての側面を強めていきました。

海と大地の恵み、そして輝く貴金属

プラスチックが存在しなかった時代、メガネフレームの素材として重宝されたのは、驚くほど自然に近いものでした。

  • 鼈甲(べっこう): タイマイというウミガメの甲羅。美しい光沢となめらかな肌触り、そして熱を加えると形を変えられる特性は、まさに究極の天然プラスチックでした。
  • 銀・金: 錆びにくく、加工しやすい貴金属は、上流階級のメガネに欠かせない素材でした。細かな彫金が施されたフレームは、それ自体が美術品のような美しさを持っていました。
  • クジラの髭や動物の角: 弾力性に富むこれらの素材も、初期のメガネ製作には欠かせないものでした。

メガネ歴史Q&A(第3回:素材の秘密)

Q:当時、鼈甲(べっこう)のメガネはどのくらい高価だったのですか?
A:現代の感覚で言えば、1本で高級車が買えるほどの価値があった時代もあります。職人が一つひとつ手作業で甲羅を張り合わせ、磨き上げるため、注文から完成まで数ヶ月かかることも珍しくありませんでした。

Q:銀のフレームは重くなかったのですか?
A:やはり重量はありました。そのため、前回お話しした「こめかみで固定するタイプ」では、重みでずり落ちないよう、テンプルの先端に大きな輪っかを作ってバランスをとるなどの工夫が凝らされていました。

Q:今でも鼈甲のメガネは手に入りますか?
A:現在はワシントン条約により輸入が制限されているため、非常に希少で高価なものとなっています。しかし、その深い色合いを再現した「デミ柄(べっこう柄)」のプラスチックフレームは、今もなおデザインの定番として愛され続けています。

「一生物」という価値観の誕生

この時代のメガネは、壊れたら買い換えるものではなく、修理を重ねて一生、あるいは子や孫へと受け継いでいくものでした。素材そのものに価値があり、それを扱う職人の技術が尊敬されていた時代です。

こうした「良い素材を長く使う」という精神は、現代の高品質なフレーム作りにも脈々と受け継がれています。

まとめ:素材への敬意を忘れない

鼈甲の艶や、銀の重厚感。かつての人々がメガネに込めた情熱は、今の私たちが見ても圧倒されるものがあります。

72eyeworksでも、素材の特性を最大限に活かす調整を心がけています。素材を知れば、メガネ選びはもっと楽しくなります。次回は、20世紀に起きた最大の革命「セルロイド」とプラスチックの登場についてお話しします。

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