第4話｜疲労を感じるITエンジニア（データに潜むストレスの可視化）

北鴻巣駅の東口から細い路地を進むと、外とは別の時間が流れているような小さな店がある。
72eyeworks（セブンツーアイワークス）。木の香りと、静かな音楽。
ここは、眼の「頑張りすぎ」に気づき、静かに力を抜くための場所。

マツイは、都内の大手IT企業で働くエンジニアだ。
「頭痛薬が手放せない」「夕方になると画面がぼやける」──そんな慢性的な眼精疲労に悩まされていた。
前の眼鏡店では「度数は合っています」と言われたが、症状は改善しなかった。

「朝から晩まで、ディスプレイを凝視しています。
休日も子どもと遊びながら、ついスマホを見てしまって……とにかく眼が重いんです。」

店主は静かにうなずき、奥の測定機器に案内した。
「従来の測定では見えない、『眼の頑張りすぎ』を数値化してみましょう。」

数分後、測定が終わり、モニターにグラフが表示された。
そこには、マツイの「調節緊張」が高い数値で示されていた。

「リラックスしている状態でも、眼が常に近距離を見ようと緊張しています。
これは、目線の先にいつもデジタル画面がある、現代人特有の疲れです。」

原因が可視化されたことで、マツイの表情が少し和らいだ。
続いて行われたのは、「効率」ではなく「余白」を重視したヒアリングだった。

「仕事中のPCとの距離は？」「休憩中はどんな姿勢ですか？」「寝る前のスマホ時間は？」

マツイの生活習慣とデータをもとに、店主は二つのレンズを提案した。
一つは負担を軽減するPC作業用。もう一つは夜のリラックス用。
どちらも、見えすぎることより“休ませる”ことを目的とした設計だ。

テストレンズをかけると、目の奥の重さがスーッと引いていくのを感じた。
隣でアヤがやさしく微笑む。

「眼鏡で、眼に休憩をさせてあげるんです。
力を抜く時間があれば、集中力もまた戻ってきます。」

店を出るころ、マツイの足取りは来たときよりも軽かった。
手には、高すぎる度数ではなく、“眼の休息”というデータに裏打ちされた新しいパートナーが握られていた。

👓 使用モデル： 高機能単焦点レンズ（デジタルサポート設計）＋眼精疲労軽減コート
🖥 測定： 調節緊張の定量表示、PCワーク距離のヒアリング重視